業務システムを開発するプロセスは、一般的なモノづくりと似ていて、製品を開発するには、見積り(要件定義)、設計(仕様書作成)、製造(実装)、検査、そして保守などがあります。基幹系など大がかりなシステムになると、ビルやマンションの建設のように、これらの各工程を綿密に実行していきます。これを、ITの世界ではフォーターフォール型開発といいます。
業務システムを構築する場合、「できあがって見たら、自分たちの業務にあわなかった」といった状況を回避するために、プロトタイピング方式とか、アジャイル型開発といった手法もとられています。しかし、プロトタイピング方式も、アジャイル型開発も、以下の図でいうと開発メンテ型に含まれます。
これに対して、PDCA型の業務システムでは、常に業務システムのどこか一部が作り変えられているようなしくみです。開発フェーズと運用フェーズが限りなく一体化しています。たとえるならば、常に改装、改築している温泉旅館、あるいは永遠に工事を続けているサクラダファミリアみたいなものです。
図2 開発メンテ型とPDCA型
多くの場合、このPDCA型のシステム開発は好まれません。作り手と使い手の責任分担が不明確だし、開発者としては、システムの検収や費用の請求がとてもしにくいからです。使う側も、いつも工事中ではあまり気持ちがよくありません。しかしながら、常に進化する組織とは、実はこういう状態なのではないでしょうか?