かつて製造業は、乾いた雑巾を絞ると言われるほど、徹底したカイゼン活動でムダをなくし続けた。カイゼン活動が徹底している会社にいくと、工場はとてもきれいである。しかし、その裏側で、情報に関するムダについては、目を覆いたくなる状況が散見している。ITカイゼンは、その考え方を知るだけでも、すぐにその効果が実感できる。業務における情報の流れに注目し、それを追いかけてみよう。担当者を超え、業務を超え、そして部門や企業の垣根を超えた流れが存在するはずである。そして、まず、情報の受け手であり使い手である直接の相手の業務を理解し、“つなぐ化”のための情報のあり方を議論するところから始めて欲しい。

 製造業は、ここ数年、ビジョンなき受け身の改革を迫られ、心身ともに疲弊しているようにも見える。とりまく環境は非常に厳しいことは言うまでもないが、数値目標のみが先行しても、よい成果が得られるはずもない。いまやるべきことは、真に付加価値を生み出している業務の流れを再発見し、それを強化するとともに、将来の付加価値の源泉となる情報を再利用可能な知識として蓄積していくことである。そして、製造業の輝かしい未来は、そうした情報技術を駆使し、業務システムを自らの手で作り上げ、企業を内部から変革していくことができる人材をいかにして育てていくかにかかっている。

 おしまい
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