IT(Information Technology)は、日本語では情報技術と訳されていますが、正確にはIT=情報技術ではありません。ITとは「デジタル化された情報技術」のことです。私たち人間が普段やっているアナログ的な情報技術は、ITではありません。テレビだって、ちょっと前までは、アナログでしたね。
インターネットが普及し、あらゆる情報がデジタル化されてしまいそうな勢いですが、ここでそれらのIT社会に飲み込まれてしまわないように、ひとことアドバイス。ITには、装置としてのITと道具としてのITの2種類あるということを知っておきましょう。
装置としてのITは、文字通り装置あるいは機械として、情報をインプットすると、何らかの計算をしたり、誰かに情報を伝えたり、何かを動かしたりするしくみです。銀行のATMは巨大なIT装置です。鉄道や航空会社のチケット予約などもIT装置です。装置としてのITは、作り手(銀行や航空会社)がいて、利用者(お客様)がいます。
一方、道具としてのITは、そのITを用いて何を作るかは、あらかじめ分かりません。ITによってやりたいことや作りたいしくみは、道具の使い手である人(これは、使い手というより作り手)が決めます。そういう意味では、道具としてのITは、作り手の手足、あるいは知恵の一部となって、さまざまな問題解決を支援します。
最近、企業の情報システム構築、あるいはシステムインテグレーション、といった世界では、ITの使い手(発注者)と作り手(受注者)の間で、いろいろな行き違いが多いようです。企業のさまざまな業務を、装置としてのITに置き換えることの限界が見えてきたといえるでしょう。